クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「その……、キスをしたり抱きしめられたりするのが、こんなに気持ちよくて幸せだなんて、知りませんでした」
私がそう言うと、ごふっとせき込むような音がした。
不思議に思って顔をあげると、口元を手で覆った部長の耳がわずかに赤くなっているように見えた。
いつも冷静な彼が照れている?
まさか、大人の男の人が私に動揺を見せるなんてありえない。
そう思っていると、部長は私から視線をそらし「あー、もう……」と額を押えうつむいてしまった。
二十四歳にもなって恋愛経験ゼロなんて引かれただろうか、と不安になる。
遊びなれた大人の部長にとっては、重くて面倒な女に見えるかも……。
不安になって青ざめていると、大きな手がのびてきてぽんと頭に触れた。
そのままちょっと乱暴に髪をなでられ、くすぐったさに首をすくめる。