クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


「宮下。昨日俺に告白したのを覚えてるか?」

 鎖骨のあたりで切りそろえた私の髪を長い指ですきながら部長がこちらを見る。

 わずかに首をかしげたせいで部長の黒い前髪が綺麗なまぶたにかかっていた。
 髪の間からこちらを見つめる少しけだるい視線がものすごく色っぽい。

「お、覚えてます……」

 私は思わずごくりと息をのんでうなずく。

「あれは、ただの酔った勢い? それとも……」

「酔った勢いなんかじゃないです! 本当に本当に部長が好きなんですっ!!」

 部長の言葉をさえぎってものすごい勢いで宣言すると、こちらを見つめる黒い瞳がまんまるになった。

 言葉をなくした部長に、私は『しまった』と内心青ざめる。

 これじゃあ顔を見るたびに『好きです』と連呼していた中学のときと一緒だ。
 あれから十年近くたって大人の女性になったところを見せたかったのに、まったく成長していない。

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