クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
また子ども扱いされてはぐらかされるんだろうなと覚悟していると、部長はぷはっと声を上げて噴き出した。
「あー、ほんと。かわいい」
笑いながら漏らしたつぶやきに、私は目を丸くする。
かわいいって、それはもしかして、部長も私に好意を持ってくれているの?
ぱぁぁっと脳内にお花が咲き乱れたけれど、すぐに冷静になる。
そんなわけがあるはずがない。私が入社して二年、部長が私にそんなそぶりを見せたことは一度もない。
学生時代何度か会っていたのもすっかり忘れ去られていたくらいだし。
こんなに魅力的な大人の彼が私を相手にするわけがない。
勘違いして期待しないほうがいいに決まっている。
恋愛経験ゼロの私なりに考えていると、どこからかスマホの着信を知らせる振動音が聞こえてきた。
音のするほうに顔を向けると、部長も気付いたように体を起こす。