クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
しまった。
酔っていて家に連絡するのをすっかり忘れていた!
私には社会人になった今でも夜十時という門限がある。
遅くなりそうなときは必ず事前に連絡をするようにと約束させられていた。
前もって帰宅が遅くなると伝えてある場合でも渋い顔をされ、心配だからと友人との食事の場に勝手に迎えにきたりする過保護っぷりだ。
それなのに、無題外泊で朝帰りなんて。
心配性の父と兄はものすごく怒っているに違いない。
青ざめながら「すみません。ちょっと家に電話しますね」と部長に断ってスマホを耳に当てる。
父のスマホにかけると、待ち構えていたように一回目のコールが鳴り終える前に電話がつながった。
「あ、おと……」
『遙か! お前無事なのか!? 連絡もせずに外泊なんて、なにを考えてるんだ!!』
私の言葉をかき消してものすごい勢いで怒鳴られた。その迫力に思わず肩をすくめて目をつぶる。