クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
あぁやっぱり、かなり怒ってるようだ。とりあえずここはきちんと謝らなきゃ。
「連絡できなくてごめんなさ……」
『今はどこにいるんだ! 今すぐ迎えに行くから場所を言いなさい!!』
謝罪の言葉すらさえぎられ、今いる場所を問われた。
「ええと」
南部長の部屋にいると言っていいものなんだろうか。
もし父と兄に部長の部屋に泊まったと知られたら、迷惑をかけてしまう気がする。
ここはうまくごまかして……。
そう思って口ごもっていると、持っていたスマホが取り上げられた。
驚いて顔を上げると、部長が涼しい顔で私のスマホを耳に当てる。
「もしもし。南です」
突然登場した部長に、電話の向こうの父が『なんで南が遙と一緒にいるんだーっ!!』と絶叫する。
「昨夜は遙さんを私の部屋に泊めました。これからご自宅までお送りします」
部長は一方的に告げると、電話口で叫ぶ父の声を無視して通話を終えた。