クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

「南を中に入れるだと!? 大事なひとり娘の遙を無断外泊させた男に、うちの敷居をまたがせるわけがないだろ!」

 肩をいからせてこちらを睨み続けるふたりに、母は綺麗な唇を引き上げて笑う。

「あなたたちのその怒鳴り声は聞くに堪えない騒音でご近所迷惑ですから、さっさと中に入れと言っているんですよ。わかったかこの石頭どもが」

 上品な微笑みを浮かべた母の目は一ミリも笑っていない。
 ドスの聞いた声で言われた父と兄は「ひぃ」と細く叫んで縮み上がった。

「社長や真一とは一緒に働いていてよく知っているし、奥様とも面識があるからわかっていたつもりだが、あらためてすごい家族だな」

 そのやりとりを見ていた部長が感心したようにそうもらす。

 私は騒がしい家族が恥ずかしくて、肩をすぼめて「すみません」と謝った。




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