クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
全員が言葉をなくして動揺するなか、部長だけが背筋を伸ばしその場に正座していた。
こんなときでも動じず凛とした姿がかっこいい……。
って、見とれている場合じゃない。
一瞬にも永遠にも感じる沈黙の後、父が瀕死の淵から息を吹き返したように大きく呼吸をしはじめた。
畳に両手をついて肩を上下させ、必死に酸素を吸い込む。
「み、南……。今の言葉は本当か……?」
ようやく呼吸が整ってきた父は、声を震わせながら問いかける。
「ち、違うのお父さん。これには事情があって」
私が慌てて言うと、父の顔がぐりんとこちらに向いた。
目が血走っていてわが父ながらこわい。
「事情ってなんだ」とものすごい目力でみつめられ、 怖気づきそうになりながらもなんとか説明を試みる。
「昨日は酔った私が部長に好きですって告白して泣いてすがりついちゃったから、部長がなだめるためにキスをしてくれて」
「遙が恵介に泣きながら告白……!?」
今度は兄が驚きで肩をわなわなと震わせながら聞き返してくる。