クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

 どうしよう。
 この人と部屋でふたりきりになるなんていやだ。

 だけど、これ以上私が拒否したら、桑井さんをさらに怒らせてしまうかもしれない。

 私の手首をつかむ指には、痛いほど強い力が込められていた。

 この人は、私が今痛みを感じているかなんてどうでもいいんだ。
 さらに彼を怒らせたら、もっと痛いことをされるかもしれない。

 そう思うと怖くて体がこわばる。
 でも、ホテルの部屋に行くのはもっと怖い。
 混乱と恐怖で視界がうるんだ。

 そんな私を見て舌打ちをした桑井さんは、手首をつかむ指に力がこめた。
 ギリリと骨がきしむような音がして、私は痛みに顔をゆがめる。

「さっさとこいよ」

 苛立ちを隠さない乱暴な口調で言われ、足が震えた。

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