クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
どうしよう。
ここで拒絶すれば彼は激高するかもしれない。
でも部屋にふたりきりになったらなにをされても逃げられない。
混乱と恐怖で血の気が引いていく。
手も足も冷たいのに、背筋に一筋の汗が伝った。
そのとき――。
「宮下」
後ろから低い声で名前を呼ばれた。
はじかれたように振り向くと、そこには私の大好きな人が立っていた。
「部長……」
私の上司の南部長だ。
私より七歳年上でかっこよくて仕事ができていつも余裕のある大人の彼が、今は普段の姿が嘘のように息をきらし膝に手をついてこちらを見ていた。