全ては君の思うまま
私のようなコースをめぐる人は他にもたくさんいて、たぶんあと1年くらいで異動がかかるはずだ。
それまでは、この勤務で頑張るしかない。

私の午後からの外回りは、自社で何店舗か経営しているビストロ部門のリニューアルのためのものだ。ワインの飲めるカジュアルな居酒屋とでも言おうか。現在、どのような問題点があって…というのを細かくリサーチする。

生島さんはリサーチ結果を元に、新しいコンセプトの立案を担っている。そのリーダーなのだ。私はその下っ端の下っ端ってところ。

本社勤務も悪くないけど、私の本音は営業所に、早く戻りたい。そんなことを思っている人はかなりの少数派なんだろうけど。

デスクに戻ると、生島さんから手招きされた。

「山口さん、明日試飲イベントのヘルプお願いできる?」

「はい、大丈夫です」

こうやって、たまに試飲イベントのヘルプも入る。今はとにかく人手が足りない時期なのだ。
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