極上旦那様ととろ甘契約結婚
「いや、俺にとっては黒歴史だよ。成人しててあの気遣いのなさはヤバ過ぎだ」

「親近感ゆえ、ですから」

ふふっと笑いかけると修吾さんの顔にも笑みが戻る。多少情けなさが残っているのは罪悪感が消えないせいだろう。

でも、そんなものを感じる必要はないって知って欲しい。だって私は、

「その後の会話で本当に救われたんです。あの時の言葉が今までの私を支えてくれたのは事実ですから。」真っ直ぐに伝わりますように、と修吾さんの瞳を強く見つめて伝えると、やっとその顔が穏やかさに満ちた。

「ありがとう」

「いえ……」

その穏やかな笑顔を見た途端、脈拍が倍速になった私はそっと視線を外しながら答えながら、気付かれないように静かに深呼吸をして落ち着こうと必死だ。
修吾さんはその瞳に浮かぶ甘さを深くするからちっとも上手くいかないけれど。

< 106 / 133 >

この作品をシェア

pagetop