極上旦那様ととろ甘契約結婚
「君は神様に信用されてるんだよ」

唐突な言葉は少女の関心を引く事に成功したらしい。返事はなかったが、初めて彼女が俺の存在を意識してくれてのが分かって俺は有頂天になる。

「神様は乗り越えられる試練しか与えないから、そんな辛い体験をしてる君は神様に信用されてるんだよ」

読んだ時はそうでもなかった。そんな本の受け売りを、言いながら俺自身も信じていくのを感じる。

そうだ。だから俺も彼女も幸せになれるはずなんだ。

そう信じて、少女にも信じてもらいたくて。どうしても幸せになってもらいたくて。この想いが届いて欲しくて。

彼女の反応を待っている俺に届いたのは、震えるような小さな声だった。

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