極上旦那様ととろ甘契約結婚
「可能性を否定出来ない……」

出した料理に文句を言わないし、感想も言ってくれる。脱いだ洗濯物をその辺に放置しないし、使った食器はシンクに入れてくれる。休日に買い物などの予定を入れたい時は事前に言ってくれるし、こちらの希望も聞いてくれる。

同居人としてマナーは完璧なのも点数が高い。ここでの生活に私がすんなり順調に馴染んだのはそのおかげも大きい。

並べた条件に今のところ恋愛感情は入っていないけれど。

考えれば考えるほどあり得るかもと焦って、そこで「あっ」と気付いた。
修吾さんは「結婚したくなる可能性はない」と最初に言っていたではないか。ならば、私一人が恋愛感情を持ったところでどうなるものでもないのに。

「ーーー何、血迷ったこと考えてんだろ」

自虐っぽく呟いて、一つ深呼吸して掃除を再開する。そして一人で勝手に盛り上がって焦った自分を戒める。

きっとこの一ヵ月が居心地よくて、無意識のうちに長く続くことを望んでしまったのだ。自分勝手に望んでしまえば、かえって縮めてしまいそうなのに。

「反動、だったりして……」

恥ずかしくて、情けない自分に言い訳を与えてみる。

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