夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
いつの間にか腰に手を回されている。
ぴったりくっついたまま、春臣さんは膝に置いていた私の手を撫でるように触った。
結婚したばかりの頃、抱き締め合うのはストレス発散にいいのだという話をした。
どうやら春臣さんの中でかなりの効果を発揮したらしく、ことあるごとにこうして触れてくる。本当なら抱き締めたいところをほどほどに我慢してくれているのは、私が「仕事中です」と再三言ったからにほかならない。
(これを取引先が知ったらどう思うんだろう……)
好きなように手を触られながら考える。
どうして飽きもせず毎日のように握ってくるのか、少しわからない。
でも、私も毎日触れられて飽きていないのだから、きっとそういうことなのだろう。
「ピザは却下だ。海理の邪魔が入るのは困る」
「ついでにお仕事の話をするの、好きじゃないですか」
「今日はそういう気分じゃない」
「……わがまま」
「お前とふたりで食事をしたいんだ」
改まったように言われてきゅっと唇を引き結ぶ。
そんなふうに言われたら、もう文句なんて出てこない。