夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~

「今日、忙しかったんじゃ」
「予定がひとつ減った分、時間が浮いたからな」

(春臣さんって、わからない)

 オンとオフの切り替えがどのように行われているのかもわからないし、どこまでがこの人の中では許されることで、どこまでが控えることなのかもわからない。

 少なくともハグとキスは誰もいなければ平気でしてくる。
 それを受け入れてしまうのは好きな人だからというのも大きいけれど、ワーカーホリックな春臣さんのささやかな息抜きになるからというのもある。

 他人から見れば自分本位な休憩は、私さえ付き合えば最長十五分ほどにまで延びる。
 進さんの話によると、以前は昼食をとりながらパソコンと向き合うこともあったということだから、この休憩がいかに大切なものかわかるというものだろう。

「なにを食べたい? 外食じゃなくてもいいな。なにか頼むか」
「社長室でピザパーティーをするのは面白そうです」
「海理が飛んでくるだろうな」
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