夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
「これからも好きだろうなーと思ったので、お伝えしておこうかと」
「変な奴だな」

 よしよし、と頭を撫でられる。
 キスが落ちたのはある意味自然なことだった。

「俺も同じだと思うぞ」
「思う? 同じって断定できないんですか?」
「……細かいことを突っ込むな」
「だって気になるんですもん」
「どうでもいいことだろうが」
「そんなことないです。大事なことですよ」
「そう思っているのはお前だけだ」
「春臣さんは妻を好きかどうかっていうことがどうでもいいと思っているんですか?」
「…………」

 ちょっぴり不器用だと知っているからこそからかうと、案の定むっとされる。そんな顔もやっぱり好きで、もっとキスが欲しくなった。

「甘やかしが足りないです」
「図々しくないか?」
「今ならいいかなと思って」
「……仕方がないな」

 ソファの背もたれに背中を押し付けられ、春臣さんが顔を覗き込むようにして唇を塞いでくる。
 きゅ、と肩口を掴むとキスが深まった。
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