夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
(だって、絶対似合う)

 すらりとした長身はモデルのようで、正直、どんな服でも着こなせると思っている。ジャケットを羽織ったところはもちろん、ベスト姿も写真に収めてもらわなければならない。

 その張本人は私の反応を待っていた。
 あ、と現実に戻り、雑誌のページをめくってみる。
 いくつか付箋が貼られていた。そのページを見てみると、式場の外観や内装、どういったオプションがついているかなどが事細かに記されている。

 春臣さんがあたりを付けているのは、屋外での写真撮影がある場所ばかりだった。四季の花に囲まれたガーデンがあったり、いかにも写真映えする専用のスポットが用意されていたり、アルバムを作るときに選ぶ写真に困りそうである。

(写真を撮りたいって言ったことも覚えててくれたんだろうな)

 私たちにとって、これは二度目の式になる。
 だったら大々的なものをするのは少し大げさだし、時間やお金を用意するのも大変だろう。
 というつもりで“写真だけでもいい”と言っていたのだが、春臣さんが選んだのは式と写真の両方だったようだ。
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