幸せの扉を探して

盛大な式を挙げ
新居に移り住んだ。

架瑠さんは、自分の書斎だけを
勝手に決め、机やソファーを
運ばせていた。
「後は、すべて貴方が決めて
良いから」
と、言って
仕事に行ってしまった。

「新婚旅行にも行く暇はない。」
と、言われて
父に泣きついたが
「男は、仕事が大事なんだ。
旅行にいきたければ
一人でも、友達とでも
行ってきなさい。」
と、逆に言われてしまった。

それからも、ほとんど
顔を会わすことのない日々が続き
たまに帰ってきた時に
どこに寝ているのか
どうして、帰ってこないのか
訊ねるが、彼は何一つ答えずに
書斎に入り鍵を閉める。

このやり取りも
何度もしてきたが
あまりにも
私をないがしろにすることが
許せなくて
「どうして、帰ってこないのですか?
どうして、私を大切に大事に
しないのですか?
世継ぎも作らないと
いけないのに。
あなたは、私に指一本触れてこない。
これだけの美貌の私を前にして
貴方は、病気かなにかで
使いものにならないのですか?」
と、彼の会社に乗り込んで
副社長室で捲し立てると
彼は、
「帰ってくれ。
ここは、仕事をするところだ。
そんな下品な話をするところではない。
それに、あなたは結婚している
私を離婚させてまで
一緒に成りたかったんだろ
結婚したんだから
もう、いいだろう。
帰ってくれ。」
と、言うと
彼は、パソコンを見ながら
仕事を再開し私を視界に
入れなかった。

私は、怒りで
わなわなふるえる身体を
押さえながら
社長である義父の元に行き
訴える

義父は、やや呆れながら
「今は仕事が
大変でイラついているだけ
だと思います。」
と、言っただけだった。

私は、怒りがおさまらずに
大学時代からの友人達を
呼んで飲み会を開いた。

その中の数人から
「瞳子さん、面白い所に
行って見ませんか?」
と、誘われて
一緒に行く事にした。

どなたも、我が家程ではないが
裕福はご家庭のお嬢様達だから
心配することはないと

連れていかれた所は
高級なホストクラブで
VIP席に案内された。

きらびやかな世界に
従順で、綺麗な顔をしている
男性の方々。

席に案内される前に
「いらっしゃいませ。
お初にお目にかかります。
輝(てる)と申します。」
丁寧に腰をおり挨拶をされる
「はっ、初めまして」
と、友人達も各々の男性達と
挨拶を交わしていると
「初めまして。
私は、この店のオーナーを
しております。
麗音(れおん)と申します。」
と、恭しく挨拶をする男性。

ハーフなのかクォーターなのか
堀の深い顔、薄いグリーンの瞳
ブロンドの長い髪を軽く結んでいる。
「はっ、始めまして。
相澤 瞳子と申します。」
いつもなら、決して
名前を名乗ったりしないのに

この男性の瞳に魅せられて
つい口が動いてしまった。
ましてや、私は相澤ではなく
大友だった。

だが、友人達も騒いでいて
聞こえていないようで
ホッとしていると・・・・
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