幸せの扉を探して

ドイツ②**


玲音と瞳子は、日本に帰国した。

瞳子は、自宅に帰り
玲音は、Angeに顔を出した。

瞳子は、父親と母親に
日本には帰らずにドイツに
永住する事と
玲音と入籍をする事を話した。

父は、激怒したが・・・

瞳子は、自分は両親からも
愛されていないとずっと
思っていた。
仕事ばかりの父。
父のためだけに振る舞う母。

小さいときから
どこかに三人で出かけたこともなく
ただ、ただ、習い事ばかりで
寂しかった・・・
もっと、お父さんとお母さんと
一緒にいたかった。

だからか、他人からの愛情を
求めた・・が・・
結局、相澤の名前と
お金でしか興味を持たれなかった。

そんな私を大切にしてくれて
大事にしてくれる玲音と共に
生きて行きたい
彼の事を愛しているから。

相澤には、私なんかより
優れた従兄や親族がいます。

女の私では、なんの役にも
立つことはありません。
ですが、政略結婚は二度と
致しません。
相澤の駒でなく
自由に私らしく生きて行きます。

と、話した。

母は、涙を流しながら
「ごめんなさい、寂しい思いばかり・・」
と、ささやいた。
父は、
「勝手にしろ。もう娘でもなければ
相澤の人間ではない。」
「あなた!!!なんてことを」
と、叫ぶ母に
「よいの、お母さん。
二度とお目にかかることは
ありません。
どうぞ、お体に気をつけて下さい。」
と、言うと玄関に向かった。

母は、直ぐにおってきて
服とかいいの?とか聞いてくれたが
私は、相澤にいるときの服を
二度と着ることはないと伝えた。
そして、
「お母さん、
ピアノありがとうございました。
ピアノがあったから、
乗り越えられました。」
と、頭を下げると母は、
瞳子を抱き締めて
「体に気をつけるのよ。」
と、言った。

瞳子は、外に出てから
母には、少しは愛されていたのだろうか
と、一度だけ家を振り返り
再び前を向いて相澤家の門をでた。

瞳子が、出てから
母親は、
「どうして、娘にあんなことが
言えるのですか?」
と、夫に詰め寄ると
「‥‥‥‥‥‥
父親は、外に目を向けながら
「見ただろ?あの子の目を。
瞳子は、もう大丈夫だ。
あの子は、相澤に関わらない方が良い。
幸せになってほしい。」
と、静かに言った。
「あなた‥‥‥‥‥‥」
と、母親は、また涙を流す。

瞳子は、
ホテルに戻り一人で
庭にいると
フワッとしたあと温かな腕に
包まれた。

瞳子は、その胸に体を寄せて
腕に自分の手を乗せると
耳元で「愛してる」
と、囁かれ
涙がツーッと流れた。

玲音は、涙を唇で止めて
ギュっと瞳子を抱き締めた。

瞳子は、この腕があればよい
この人だけが
そばにいてくれたら良い

両親にああ言ったが
例え・・いつか・・
この人が・・私の元から
離れたとしても・・・・

と、思っていると・・・

玲音から
「離れないよ。一生。
瞳子、これ書いて。」
と、出されたものは
婚姻届だった。

「‥‥いいの?本当に‥‥私で?」
「何を今さら。俺は瞳子だから
結婚するだよ。他ならしない。」
と、言われて
「‥‥‥‥うん、ありがとう玲音。」
と、言うと玲音に連れられ
部屋に入り記入した。

二人は翌日、
婚姻届を出して
ドイツに永住する
手続きをした。

婚姻届の証人欄には輝さんの名前と
母の名前があった。

玲音は、母にだけあって
結婚の話と大切にすることを
話したと言った。

本当に、この人は・・・

手続きが終わると
二人でドイツへと
戻っていった。
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