あの日の空にまた会えるまで。


蓮先輩は私のことをよく知っている。さすが中学の頃からの付き合いなだけある。

「でも、少し気持ちが楽になりました」
「それならいいけど」

どうせ今どれだけ悩んだってわかんないものはわかんないんだ。蓮先輩の言う通り、流れに流されるしかない。答えが出ないのだから、どうしようもない。仕方がない。

「そろそろ出ようか。人が多くなってきた」

そう言われてから気づく。見渡してみれば、店内のテーブルは満席になっていた。

ランチをするわけでもない私たちがこれ以上長居するのは迷惑になる。

「そうですね」
「この後用事ある?なんだったら送るけど」
「真央と約束してるんで、大学戻ります」

この店から大学までは徒歩10分ほどの距離だからすぐに着ける。

「そっか。今度4人でまたご飯に行こうか」
「行きたいです!きっと真央も悠斗も喜びますよ」
「……なんだかんだで俺も一緒に腐れ縁だよね」

確かに、私と真央と悠斗の関係が腐れ縁なら中学からの仲である蓮先輩も同じ腐れ縁だ。それだけ長く続く縁はこれからも大切にしていきたいと思う。


店では蓮先輩がお金を出してくれたので、近くの自動販売機で炭酸飲料のペットボトルを購入してお礼として渡した。

「ほんと律儀だよね。ありがと」
「こちらこそありがとうございました。もう夏ですから、熱中症に気をつけてくださいね」
「葵ちゃん、お母さんみたい」

並んで歩きながらそんな他愛もない会話を繰り広げる。

心地の良い暖かさだった春も終わり、もう夏本番。太陽がそんなに存在を主張しなくても良いよってほどに照り付けている。見渡せば、タオルやハンカチで汗を拭う人もちらほらと見えてくるようになってきた。大学ではここ最近、悠斗がよくアイスを食べている。

春が終わり、季節が変わり始めていた。

「暑くなってきましたねー」
「夏だねこれは。あっつい」


ーーーそして私は、その後すぐに自身でも分からなかった答えを知ることとなる。


「……蓮?」


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