こんなにも愛しているのに〜それから
それから
深野は直接の勧誘の言葉は
一旦
引っ込めたものの
自分の会社のことや
そこで
どれだけの権限で自分が働いているかを
滔滔と話し続けた。
途中で
もうこれ以上はごめんだと
席を立とうと思った時に
三谷の携帯が鳴って奴の方が
’すみません’
と言って
先に席を立った。
束の間
気まずい沈黙が流れる。
「再就職のあてはあるの?」
「それを聞いてどうする?」
「冷たいのね。
忘れましょうって言ったのに、
引きずっているのは
西澤くんの方?」
深野があの話を持ち出して来た。
「なんのことだ。」
「あれから10年は優に経っているけど、
私は少しも後悔していないから。」
迷いのない目で俺を見つめる。
「旦那と結婚をやめるつもりだったけど、
あの時、西澤くんに全身で拒否されて
かなりショックだったのよ。
そのショックのまま、結局は結婚して、
子供を産んで、今は
会社を切り盛りしている
仕事は楽しいけど、個人的には寂しいかな。」
「旦那さんがかわいそうだな。
そんな気持ちで、結婚されて。」
「彼を好きだったけど、
もっと好きな人が現れてしまった。
というだけよ。
その自分の気持ちの隙間を埋めるように
仕事の話が持ち上がって、
いろいろと忘れたくて
がむしゃらに働いているって感じかな。」
「。。。。。」
深野の独りよがりの話なんか、
もう聞きたくもなかった。
あんなに深野のことを思っていた
人の良さそうな彼を
彼の心を踏み躙っているのか。
もうこれ以上
何も話したくはなかった。
三谷が席に戻ってきたが
大学時代の友人が偶然にこの店に
来ているので
ちょっとこのまま席を外させてもらいたい
と、申し訳なさそうに言ってきた。
「俺は帰るから、
三谷は友達とゆっくりしろ。」
「すみません。深野さんはどうされますか。」
「西澤くんと、とことん話させてもらう。
これが本当に最後かもしれないから。」
深野は目を見据えて
俺の右手首を自分の両手で握りしめて来た。
「ええっ〜、
もう深野さん酔っ払っているんですか。
タクシーを呼びましょうか。」
「いいからっ!!
三谷くんは友達のところへ行きなさい!
西澤くんは、私と話す必要があるわよね。
座って。
三谷くん、ついでにビールを追加してきて!」
深野の眦が上がってきた。
酔ってはいないはずだ。
茉里が言っていたな。
あの時にちゃんと向き合って来なかったから
そのツケが回って来たのだと。
今の
俺と深野もそうかもしれない。
「三谷、俺は水でいい。」
「大丈夫ですか。」
流石に俺たちの間に横たわる何かを
察したらしく
三谷が心配げに尋ねた。
「大丈夫だ。俺は氷を入れた水が欲しい。」
「はい。
わかりました。」
静かに襖を閉めて三谷がいなくなった。
深野も自分を落ち着かそうとしているのか
静かに深呼吸をし始めた。
深野は直接の勧誘の言葉は
一旦
引っ込めたものの
自分の会社のことや
そこで
どれだけの権限で自分が働いているかを
滔滔と話し続けた。
途中で
もうこれ以上はごめんだと
席を立とうと思った時に
三谷の携帯が鳴って奴の方が
’すみません’
と言って
先に席を立った。
束の間
気まずい沈黙が流れる。
「再就職のあてはあるの?」
「それを聞いてどうする?」
「冷たいのね。
忘れましょうって言ったのに、
引きずっているのは
西澤くんの方?」
深野があの話を持ち出して来た。
「なんのことだ。」
「あれから10年は優に経っているけど、
私は少しも後悔していないから。」
迷いのない目で俺を見つめる。
「旦那と結婚をやめるつもりだったけど、
あの時、西澤くんに全身で拒否されて
かなりショックだったのよ。
そのショックのまま、結局は結婚して、
子供を産んで、今は
会社を切り盛りしている
仕事は楽しいけど、個人的には寂しいかな。」
「旦那さんがかわいそうだな。
そんな気持ちで、結婚されて。」
「彼を好きだったけど、
もっと好きな人が現れてしまった。
というだけよ。
その自分の気持ちの隙間を埋めるように
仕事の話が持ち上がって、
いろいろと忘れたくて
がむしゃらに働いているって感じかな。」
「。。。。。」
深野の独りよがりの話なんか、
もう聞きたくもなかった。
あんなに深野のことを思っていた
人の良さそうな彼を
彼の心を踏み躙っているのか。
もうこれ以上
何も話したくはなかった。
三谷が席に戻ってきたが
大学時代の友人が偶然にこの店に
来ているので
ちょっとこのまま席を外させてもらいたい
と、申し訳なさそうに言ってきた。
「俺は帰るから、
三谷は友達とゆっくりしろ。」
「すみません。深野さんはどうされますか。」
「西澤くんと、とことん話させてもらう。
これが本当に最後かもしれないから。」
深野は目を見据えて
俺の右手首を自分の両手で握りしめて来た。
「ええっ〜、
もう深野さん酔っ払っているんですか。
タクシーを呼びましょうか。」
「いいからっ!!
三谷くんは友達のところへ行きなさい!
西澤くんは、私と話す必要があるわよね。
座って。
三谷くん、ついでにビールを追加してきて!」
深野の眦が上がってきた。
酔ってはいないはずだ。
茉里が言っていたな。
あの時にちゃんと向き合って来なかったから
そのツケが回って来たのだと。
今の
俺と深野もそうかもしれない。
「三谷、俺は水でいい。」
「大丈夫ですか。」
流石に俺たちの間に横たわる何かを
察したらしく
三谷が心配げに尋ねた。
「大丈夫だ。俺は氷を入れた水が欲しい。」
「はい。
わかりました。」
静かに襖を閉めて三谷がいなくなった。
深野も自分を落ち着かそうとしているのか
静かに深呼吸をし始めた。