こんなにも愛しているのに〜それから
「もしそうだとしても、
あの日のことは、起きてしまったことで
後には戻れない。
だけど、決して俺が望んだことじゃない。

ああいう関係になると、どうしても女性の方が
被害者になってしまう。
傷つく度合いが違うから。

薬で前後不覚にして、暴行された女性の心を思うと、本当に
なんて言っていいか分からないほど、悲惨だ。
もし、娘がそういう目にあったら、
俺は躊躇いなく相手の男を殺すかもしれない。

あの日、
俺にも、落ち度があったかもしれない。
だけど
片方だけの気持ちで
無理矢理
思いを遂げられるのは
女性だけが傷つくわけじゃない。
男だって、立場が変われば傷つく。
不能になる人だっているだろう。

俺は、
今でも
酒を一滴でも飲んだら茉里のことを抱けない。
また、
記憶がない中で
茉里に酷いことをするのではなかろうか、
って思って。

俺も傷ついた。
酷く傷ついた。

今
深野を前にして、酒を口にできないし、
ひとつひとを、吟味しないではいられない。」

「考えすぎじゃない。
あの日のことがそんなに嫌だったからって、
そこまで
言わなくてもいいんじゃない。」

深野が弱々しく言った。

「今日を限りにもう二度と会わないし、
声もかけないでくれ。
茉里にも接触しないでくれ。

深野も知っていると思うけど、
茉里は俺たちのことを気づいていた。

深野が茉里に会った時に、
匂わせるようなことを言って
そして
確信を持たせた。」
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