こんなにも愛しているのに〜それから

深野の贖罪

再度
則文に本当の気持ちを聞いた。
彼女に心を残しているようだったら
私は離婚してもいいと思っていた。

好きな人と
心を通わせて
共に思いやって暮らす
穏やかな人生を
則文に送らせてやりたかった。

私は
則文の優しさにつけ込んで
彼を振り回して来ただけ。

こんなに酷い女ですもの。
こんなに酷い女なのに、
そのことを告げもしない
狡い人間だもの。

「本当に本気じゃなかった。
ただのゆきずりのその場限りの関係だと
思っていた。
二度と会わないって言って別れたのに、
彼女、、、取引先の従業員で、
また会ってしまって、、
ずるずと、、、」

「取引先って、お前は、会社の顔に泥を塗るのか！」

「それで、無下にできないような気がして、
相手も奥さんがいてもいい、
一生日陰でもいいからって。
やっぱり、そんなことはよくないって思って
別れを切り出したら、妊娠したって、、、」

「いいように手玉に取られてからに。
弁護士を通して、話をつけよう。
子供も、うちの孫だとは認められん。
お前は、しばらく左遷する。
お目付役をつけてな。
自由にはさせんぞ。」

「。。。。。」

「お義父さん、ちょっと待ってください。」

段々とエキサイトしていく義父に
ストップをかけた。

「則文は本当に、彼女には未練がないのね。」

「ない、、、いつも別れたいって思っていた。」

「でも、子供は則文の子供だよ。
明文の兄弟だよ。
お義父さんの孫でもあるんです。
彼女がどうして妊娠したかはわからないけど、
子供には罪はないと思う。
やはり認知して、
養育費を払うことはしないと
いけないんじゃないでしょうか。」

自分が勝手に好きな人でも
好きな人の子供だ
彼女は産みたいと言っている。
子供はすでに
彼女のお腹の中で生きでいるんだ。

「ただ
そのことでどういうことが起きるのかを
彼女と話して確認し合いたいです。

もし
彼女が一人で
育てられないというのなら
私が育てる。
則文の子だよ。
私たちの籍に入れて、育てよう。」

私がしでかしたことで
亡くなった西澤くんのお子さんへの
贖罪の気持ちなのか。。。

自分の夫の浮気の果ての出来事なのに
憤る気持ちもなく
自分がしでかしたことへの
罪滅ぼししか考えていなかった。

こんな偽善者めいた私の言葉に
義両親は感激して
余計に則文を叱責していた。

「まさか、、、妊娠するとは、、、
それだけは避けたいって、
思っていたのに。。。」

則文が呟く。