こんなにも愛しているのに〜それから
明文の子どもらしい提案に
義両親もこれ幸いと乗って来て
私に相談役のポストを用意するから
住みたい近郊地域に
私名義のマンションを提供すると
言われた。

生活圏が被らない地域をいろいろと
指し示し
このことを
息子の前で
言われたものだから

「ここだったら
僕、電車で行ける。
学校がある日は
お父さんとじじとばばと
一緒で、
お休みの日とか長いお休みの時は
お母さんのところに行く。
お母さん、お仕事大変だろうから
僕、おうちのお手伝いをいっぱい
するからね。」


はしゃぎ出した。

私は今の会社から完全に
離れるつもりでいたが
まだ
次の勤め先も決めていなかったのに
うれしそうに地図を指し示す明文に
なにも言えなかった。

子供にとって
親は親
それ以外の何者でもない。

お互いの思惑もなく
父と母との輪の間に自分が
いることが当たり前で
それが崩れることは
自分の存在がなくなってしまうのでは
ないかと、恐れているのだろう。

そんなことは
決してないのに。

私はこの子に対しても
なんと酷いことをして来たのか。

今まで
どのようなことがあっても泣かなかったのに
我が子の純粋無垢な姿に
自分の中に住む醜い自分が
溢れ出て
流れ尽くしてしまうかのように
泣いた。
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