離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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千景とふたりでやって来たのは、酔いつぶれた夜が記憶に新しいホテル、ル・シェルブルのフレンチだった。
案内されたのはシックな内装の個室。大きな窓からは、最上階のラウンジから見えたように煌びやかな夜景が広がる。個室のせいか、ひとり占めしている気分だ。
ほかのお客の目を気にせずに済むのもありがたい。なにしろ千景はどこへ行っても視線を集めるため、必然的に百々花にも目が向けられる。当然ながらそれは、〝不釣り合いな女だな〟というマイナス要素が込められたものだ。
そういったものを隔絶できるとホッとする。
オーダーのすべてを千景に任せ、運ばれてきたワインで改めて結婚を祝って乾杯した。
空気からして洗練されているこういった場所へ来ると、千景の華麗さに拍車がかかる。彼の仕草のひとつひとつが優雅で、うっかり見惚れてしまう。
ひとときの妻ではあるけれど、彼のような男性と結婚できたことを幸運に思う。普通に生きていたら、絶対に近づけない人だ。
「百々花、ひとつ渡したいものがある」
ワイングラスを置き、千景は胸もとから手のひら大の小さな小箱を取り出した。
なんだろうかと思った直後、まさかという予感が胸を突く。