離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活


「そうですよね。千景さんの言うとおりです」


ワイングラスをテーブルに置き、千景のほうに身体を向ける。


「さっきの方は、私たちの結婚に納得されていないんですか?」


一番の気がかりはそこだ。結婚の話がどこまで進んでいたのかはわからないけれど、彼女がその気でいたのだとしたら、急展開に腹を立てたくもなるだろう。


「まだ納得はしていない。今も俺の話に耳を貸さないし、一方的に怒りをぶつけるばかりでね」


千景によると彼女は、彼の父親づてに話を聞いたその足でここまでやって来たという。冷静に話をできる状態ではなかったため、コンシェルジュに呼んでもらったタクシーに乗せて帰したらしい。


「親同士が勝手に決めていた結婚で、最初からその意思はないと伝え続けてきたんだけど全然話にならない」
「そうですか……」


それで百々花との結婚を即日強行したというわけだ。
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