離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
弘和はチラッとだけ千景に視線を向けたものの、またすぐに百々花に戻した。尖った眼差しは、歓迎されていない証拠。肩身の狭い思いだったが、目を逸らすわけにはいかない。結婚を急いだのは、百々花にも理由があったのだから。
「千景さんと早く結婚したかったのは私も同じです。非礼を承知で婚姻届にサインをしました。本当に申し訳ありません」
それは嘘ではない。できるだけ早く実家を出たかったのは事実だ。
「どちらにせよ私は、ふたりの結婚を承認できるような心境ではない」
断固として反対のようだった。きっぱりと言いきられ、百々花もそれ以上はなにも言えなくなる。
「ですが、父さん、私は香織さんと結婚するつもりはないと何度も」
「黙りなさい。久松財閥との縁は、千景が生まれるずっと以前からなんだぞ。それを足蹴にしてどうなるかわかっているのか」
弘和は腕組みをして険しい表情で千景を見据えた。
久松財閥は、百々花でも知っている大企業。香織が、まさかそこの令嬢だとは知らなかった。