離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「百々花と申します」
声がいくらか震える。深呼吸の効果はあまりない。
そこで顔を上げると、ばっちり目が合った。グレーヘアをしているが皺はなく、想像していたより若々しい。鋭い眼差しは、千景とうりふたつだ。
「千景の父の弘和です」
低い重低音の声が静かな和室に響く。緊張しているせいか、百々花のみぞおちあたりにも轟いた感覚がした。
「本日はお忙しいなか、お時間を作っていただきありがとうございます」
「もうすでに入籍を済ませているそうだね」
批判めいたトーンだった。親に黙って勝手にするとは、といったニュアンスだろう。
先制パンチを受け、緊迫感がさらに増した。
「ご挨拶が遅れて大変申し訳ありません」
「父さん、何度か話しましたが、私の希望で早々に入籍しました。彼女にはなんの非もありません」
百々花をかばって千景が制する。