離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

◇◇◇◇◇

睡眠時間が短い割に百々花の気分が軽やかなのは、トラブルを経て完成したフェアの演出が期待以上の出来栄えだったからだろう。

とはいえ来場者の反応は、まだ聞いていない。喜ぶのは千景の報告を聞いてからだと、自分に軽く釘を刺して店に到着した。


「おはようございます。皆川さん、昨日は本当にありがとうございました。いろいろとご迷惑をおかけして申し訳ありません」


奥のスタッフルームでデスクに向かっていた皆川に、真っ先に頭を下げる。
彼がフェア会場まで来て手を貸してくれなかったら、とうてい間に合わなかっただろう。


「いや。なんとか無事に完成にこぎつけてよかったよ。でもさ、ちょっと不可解なんだよね」


右手で頬杖を突き、百々花を見上げた。


「不可解って、なにがですか?」
「ひまわり。昨日はどこに連絡しても『ない』の一点張りだっただろう? それが今日はいつも通り普通に入荷してるんだ」


皆川に言われ、たしかめるために店内を覗く。
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