離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
香織が「やだ、なんで!」と狼狽するのを気にかけながら、千景からスマートフォンを受け取った。
「お電話代わりました」
久松財閥のトップを相手にするため、声が震える。いったいなにを言われるのだろうかと気が気でない。
もしかしたら、千景と別れてくれと言われるのではないか。一瞬のうちにそう考え、胸が痛んだ。
『香織の父です』
穏やかで落ち着いた声が耳に届く。
「百々花と申します」
『今回の件では香織があなたに多大なる迷惑をかけたそうで、本当に申し訳ない』
「いえ、そんな……」
日本を代表する企業のトップから、まさか謝られるとは思いもしなかった。
『本来であれば、父親の私があなたのところに直接伺って謝罪しなければならないのでしょうが、なにしろシカゴにおりましてね』
「そんな、本当に大丈夫ですから」