離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「ここは俺のマンション」
なんとホテルのようなこの場所が、彼の住まいだとは。
でも、どうして彼のマンションになんて……?
たぶん今、自分はひどく間抜けな顔をしているだろうと予測がつく。その証拠に彼はクスッと切れ長の目を細めた。
シャープな顔立ちが途端にやわらかくなり、百々花をドキッとさせる。
普段は整髪料できっちりとしている黒髪が無造作に乱れ、頬にひと筋の影を作った。
コットンのホワイトシャツに細身のブラックデニムというラフなスタイルも、いつもの隙のないスーツと違って新鮮だ。
寝起きのうえ、よれよれな自分の姿との違いがとても恥ずかしい。
「コーヒー淹れたから、こっちおいで」
手招きで呼び寄せられ、まるで糸で引っ張られたかのようにふらりと足を出す。
見れば、ダイニングテーブルには朝食が並べられているではないか。スクランブルエッグや新鮮そうな生野菜、ハムサンドが白いプレートに美しく盛りつけられていた。
千景は椅子を引いて百々花を座らせ、自分も向かいの席に腰を下ろした。