離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
彼女の最後のひと言に、千景はつい目が泳いだ。
それに感づいた美咲の目に、からかいの色がすかさず滲む。
「そうか、千景のタイプだったわけね」
弱みを掴んだかのようにその目の奥が光った。
「そんなことひと言も言ってないだろう」
「目は口ほどに物を言うって本当ね」
腕組みをして、ふむふむとばかりにうなずく。
「仕事を頼んだだけだよ」
「なるほど。仕事を餌にして彼女に近づく魂胆ね。まぁやり方としては二流だけど、ほしいものがあるときは手段を選んでいる場合じゃないものね」
美咲が千景に言いたい放題なのは昔から。特に千景のほうがふたつ年下ということもあり、かなり強気だ。口が達者なため、その点では弁護士に向いていると言えるだろう。
「人聞きが悪いな。彼女のセンスに惹かれたから、仕事をお願いしただけだ」
「とか言って、まんざらでもないって顔だけど」
美咲が肘で千景を小突く。