離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活


結婚を考えられない相手との縁談を父親に無理に推し進められている自分と、家を出るためには結婚しか手段がないという彼女。これはいい組み合わせではないか。
自分でも驚くような思いつきだった。


「それなら……俺と結婚すればいい」


焦点の合わない目で百々花が千景を見つめたため、もう一度同じ言葉を繰り返す。


「俺と結婚しよう」


そう言った次の瞬間、百々花が一瞬、千景の視界から消えた。


「ひゃあ……!」


か細い声をあげながら、高いスツールから見事に落ちたのだ。


「えっ、百々花! 大丈夫!?」


アルコールが回っているのか、動きがスローテンポの彼女の友人より先に、千景が手を貸して百々花をスツールに戻す。
< 76 / 301 >

この作品をシェア

pagetop