いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
優花が開いたページには、結婚式で招待客に振る舞う豪華なコース料理の写真が載っている。

「すごい……!試食だけでも行ってみたい……!」

「私も行きたいです!」

「あっ……でも半額でこの値段か……。ちょっと気軽には行けないなぁ。結婚式ってやっぱりお金がかかるんだねぇ。頑張ってお金貯めなきゃ」

私がお金の心配をしているところを見せておけば、航太の勘違いはさらに加速するだろう。

創さんに言われた通りにしてみたけれど、我ながら上出来なんじゃないだろうか。

私が一人悦に()っていると、夢中になって情報誌を見ていた同僚の一人が、顔を上げてオフィスの壁掛け時計を見てあわて出した。

「わっ、もうこんな時間!仕事の準備しなきゃ!」

「ホントだ!」

同僚たちはそれぞれの席に戻り、あわてて午後の仕事の準備に取り掛かる。

私も情報誌を閉じてデスクの一番下の引き出しにしまい、資料を手にパソコンに向かった。



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