いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
敵と味方
定時で仕事を終えて帰り支度をしていると、優花が航太の様子を窺いながらそばに来て、一緒に帰ろうと誘ってくれた。
帰り際に一人になったところで航太に狙われないように気にかけてくれているようだ。
「ありがとう。これから晩御飯の材料を買いに行くつもりなんだけど……せっかくだから、その前にちょっとお茶でもしようか」
「いいですね。あの話、詳しく聞かせてくださいよ」
二人でオフィスを出たあとも、優花はチラチラと背後を気にしていた。
「小柴さん、絶対にうしろは向かないでください」
「……もしかして……」
「そのもしかしてです。とりあえずエレベーターを降りたら1階の女子トイレに行きましょう」
エレベーターホールでボタンを押して待っている間に航太が私たちに追い付き、「お疲れ様」と声を掛けてきたので、私も優花も事務的に「お疲れ様です」とだけ返した。
エレベーターの扉が開くと、中には上の階から乗って来た人たちが数人いて、航太は別部署の同期に声を掛けられ他愛ない会話をしていた。
帰り際に一人になったところで航太に狙われないように気にかけてくれているようだ。
「ありがとう。これから晩御飯の材料を買いに行くつもりなんだけど……せっかくだから、その前にちょっとお茶でもしようか」
「いいですね。あの話、詳しく聞かせてくださいよ」
二人でオフィスを出たあとも、優花はチラチラと背後を気にしていた。
「小柴さん、絶対にうしろは向かないでください」
「……もしかして……」
「そのもしかしてです。とりあえずエレベーターを降りたら1階の女子トイレに行きましょう」
エレベーターホールでボタンを押して待っている間に航太が私たちに追い付き、「お疲れ様」と声を掛けてきたので、私も優花も事務的に「お疲れ様です」とだけ返した。
エレベーターの扉が開くと、中には上の階から乗って来た人たちが数人いて、航太は別部署の同期に声を掛けられ他愛ない会話をしていた。