キミに伝えたい愛がある。
すっかり暗くなり、人気のない道を歩く。


めぐちゃんの住むニュータウンとは異なり、私とりっくんの家がある住宅地の一軒家はみな古く、新しい家は1、2軒しかない。


高齢化も進み、子どもよりお年寄りの方が多いんじゃないかと思っている。


実際に祖母も老人会のメンバーは毎年2人ずつくらい増えているのに、育成会に加入する子どもはここ数年1人もいないと言っていた。


そんな地域に住む、貴重な高校生である私達。


町は変わり行くのに変わらない私達の関係はある意味奇跡だと思う。


幼なじみ3人で恋愛バトルを繰り広げることなく、穏やかな時を過ごしてきた。


変わるとすれば、りっくんとめぐちゃんがカップルになるってこと。


というより、変えなければならない。


これは私の使命。


なのに私と来たらまたりっくんと2人で帰って来てるし...。


いつまでもこんなんじゃダメだよね。


早くりっくんには告白してもらわないと。


めぐちゃん、絶対待ってるんだから。



「あのさ...」


「あのさ、りっくん」



見事なシンクロ。


しかし、今は不要だ。



「りっくんからどうぞ」


「ああ、えっと、その。俺が言いたかったのは...ムリすんなってこと」



ムリ...?


私、何をムリしているのだろう。



「部活やりたくなければさぼればいいんだし、1日2日やんないくらいで急激に下手になるわけじゃないだろ?」


「まぁ、そうだけど」


「あんまりこんつめると、パンクしちゃうからさ、手を抜くってのも大事だって俺は思う。辛くなったらいつだって話聞くし。もっと頼れよ。甘えろよ、色んな人に。そのためにいんだろ、人って」



りっくんはやっぱりすごい。


見ていないようで人をしっかり見ているし、ぼーっとしているようで意外としっかり考えている。


子どもだなんて言っちゃったけど、りっくんは確実に成長している。


私より何倍も大人かもしれない。



「ってことで、何かあったら俺に言うこと。今回みたいなことが続いたら先生に言わなきゃなんないしな。その時は俺が一緒に行く」


「ありがとう。りっくんが居てくれると安心する」


「そ。なら...嬉しい」



照れ隠しに鼻をこすっているみたいだけどバレバレだよ。


小言を言われる危険があるから、何も言わなかったけど。



「本日の締めとして俺から一言言ったら、ちーに譲るわ。そろそろで家着くし」


「あっ、うん。じゃ、どうぞ」



りっくんが空気をたくさん吸い込んで吐き出した。



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