キミに伝えたい愛がある。
祖母に心配させないようにというりっくんの計らいでいつもの時間に帰れるように時間調整をすることになった。


そこで最寄り駅近くのカフェに入り、りっくんから話を聞くことになった。



「楽譜が無くなったのをなんでりっくんが知ってるの?見つけたってどういうこと?」


「まあまあ、落ち着けって。ほら、最初は飲み物頼まないと」


「そんなのどうでもいい。早く話して」



りっくんは急いでアイスコーヒーを2つ頼むと、直ぐ様話し出した。



「ちーの楽譜は1階の男子トイレの入り口に置いてあった。俺がさっき入った時だ」


「なんでさっきなの?私が昼休みに音楽室に行った時には無くなってたのに...」


「犯人は朝練の後から昼練の前の間で盗んだんだ。つまり、1から4限に音楽があったヤツが怪しいってわけだ」



調べればおおよその見当はつく。


というより、もう犯人は分かってしまったようなものだ。


信じたくないけど、そうとしか考えられない。



「空くん...」


「いや、青木空は違う。アイツのことを好きなヤツが怪しい。ちーと青木くんの仲を恨めしく思ってるヤツいるだろ?」


「別に思い当たる人いないけど...」


「本当にそう?同じ部活にいない?」


「いないよ。むしろ私の方が恨んでるくらいだし」


「どういうことだよ、それ」


「前に相談したじゃん、パートのこと。私、サードになっちゃったんだよね。やりたくないわけではないんだけど、モチベーション上がらなくて最近ずっと不調だった。追い討ちをかけるようにこんなことあったし、なんかもう...辛くて」



私が泣き出しそうになっているところにアイスコーヒーが到着した。


店員さんが気まずそうに2つ置く。


ごゆっくりと言いつつも、早く帰ってくれよと言わんばかりの顔だった。



「ひとまず飲もう。ちー大好きだろ、この苦いの。俺はちーの分までミルク入れさせてもらうけど」



甘党のりっくんは、幼い頃からいちごミルクやコーヒー牛乳が大好きだった。


それは現在進行形で、コーヒーには必ずミルクとシュガーを欠かさない。


ストローで少しずつ飲むのも昔から変わらない。



「はあ、うっまい。コーヒーさいっこお」


「りっくんのはコーヒーって言わないよ」


「コーヒーが入ってるからコーヒーなんだよ。これはコーヒーですぅ」


「ミルク入れてんだから、コーヒー牛乳でしょ。甘いのしか飲めないくせに自分の方が大人ですみたいな態度とるの止めてよね」


「俺、ちーみたいにすぐむきにならないから大人だわ」


「いやいや、今完全に対抗して来たでしょ。そういうのが子どもなんだよ」


「じゃあ、どっちも子どもってことで」



子ども最高なんて言いながらグラスをぶつけてくる、りっくん。


意味不明な言動にただ笑うしかない。



「ちーは変なヤツだなぁ。さっきまで半泣きだったじゃん」



りっくんが笑わせるようなことを言うから悪いのだ。


私は決して悪くない。



「ま、いっか。ちーが笑ったなら、それでよし!」



結局私達はカフェに2時間居座り、勉強したり、この前の映画の話の続きをしたりして過ごした。


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