副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
ふと立花さんを見ると、訝しげな表情をしていた。

「副社長が、佐山さんのドレスを選ばれたんですか?先日のはてっきり、社交辞令なやりとりかと思っていましたが……スタイリストに見立てさせるのかと思っていました」

「社交辞令なわけがない。休日にお越しいただいて、私が選んだ。
美鈴、そのネックレスもよく似合っているよ」

「あ、ありがとうございます」

お礼を言いながら、私を睨みつける立花さんを横目で見た。
立花さんはもしかして……啓太さんのことを好きなのかもしれない。
だとしたら、あの睨みつけるような視線もわかる。

「二人とも、惚気るのは仕事以外のところでしてよ」

苦笑する篠原さんに、啓太さんも苦笑で返す。

「すみません。つい、僕の美鈴が美しすぎて」

ぼ、僕の……

「東山さん、俺のことは牽制しなくても大丈夫ですよ。佐山は見ての通り美人ですが、我が社の大切な社員です。俺は、社員には手を出さない主義ですから」

「それは安心しました。美鈴に他の男がちょっかいかけないように、守ってやってください」

「了解です」

このちょっとふざけたような、本気のようなやりとりはなんだろう……
気恥ずかしいやら、混乱するやら、パニックになっている私に、冷たい視線をぶつける立花さん。
それを、男性二人は気づいていなかった。

「それでは、今夜はこの辺で失礼します。
美鈴、名残惜しいけど、また連絡するから」


そんなあまい空気を残して、啓太さんは去っていった。


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