副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
篠原さんの後ろに控えつつ、知り合いの方々に挨拶をしていく。
主催者の宮下社長にも挨拶を終え、今夜の重要任務はとりあえず完了したと一息ついた頃、啓太さんがやってきた。

「こんばんは、篠原さん」

「ああ。こんばんは、東山さん」

「美鈴、お疲れさま」

「お、お疲れさまです」

上司である篠原さんの前で、突然名前を呼ばれて動揺してしまった。

「立花さんも、お疲れさまです」

篠原さんの言葉に、顔を上げた。
啓太さんの後ろには、今夜も綺麗に着飾った、秘書の立花さんが控えていた。
立花さんは、にこやかに挨拶を返していたものの、時折、私に鋭い視線を向けてくる気がする。

「さすが東山さんですね。このドレス、佐山によく似合ってます」

「いやいや。元々の美しさがあるから、どんな物でも似合うんじゃないですか」

ちょっ、ちょっと、なんてことを言うの!?
一応、仕事中なのに……

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