副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
その後、静かになっていった私を、啓太さんは酔った上に疲れたのかと思ったようで、遅くならないうちにタクシーで送ってくれた。
「美鈴、今日は付き合ってくれてありがとう。楽しかったよ」
「こちらこそ、ありがとうございました。私も楽しかったです。またやどり木にも連れて行ってください」
「もちろん。美鈴、左手を出して」
なんだろうと、首を傾げながらも左手を差し出した。
啓太さんは私の左手をとると、ダイヤのついた指輪をはめた。
「えっ?」
「美鈴が、僕の婚約者だっていう証だよ」
私の耳元に口を近づけてそう囁くと、指輪に口づけをした。
「美鈴、おやすみ」
啓太さんは、今度は私の額に口づけをして、私が何かを言う隙を与えないまま、タクシーに乗り込んで去っていった。
これが本物の、気持ちのこもった指輪なら、心の底から嬉しかっただろう。
でも、私の左手にはめられた指輪は違う。
これも、小道具の一つってことなんだろう。
なんだか、虚しさでいっぱいになった。
「美鈴、今日は付き合ってくれてありがとう。楽しかったよ」
「こちらこそ、ありがとうございました。私も楽しかったです。またやどり木にも連れて行ってください」
「もちろん。美鈴、左手を出して」
なんだろうと、首を傾げながらも左手を差し出した。
啓太さんは私の左手をとると、ダイヤのついた指輪をはめた。
「えっ?」
「美鈴が、僕の婚約者だっていう証だよ」
私の耳元に口を近づけてそう囁くと、指輪に口づけをした。
「美鈴、おやすみ」
啓太さんは、今度は私の額に口づけをして、私が何かを言う隙を与えないまま、タクシーに乗り込んで去っていった。
これが本物の、気持ちのこもった指輪なら、心の底から嬉しかっただろう。
でも、私の左手にはめられた指輪は違う。
これも、小道具の一つってことなんだろう。
なんだか、虚しさでいっぱいになった。