副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
店内に入ると、子ども達は目をキラキラさせた。

「「ケーキ!!」」

ショーケースの中の、色とりどりのケーキに、目が釘付けだ。

「美鈴、何にしようか?」

「そうだなあ……篠原さんは、甘いものでも大丈夫だったはずだけど……舞さんは、さっぱりしたグレープフルーツのゼリーかな。ケーキはだめだよ」

そう。
舞さんは少し前に出産したばかりで、今日はそのお祝いに行くのだ。
授乳中のママさんに、ケーキはあまりよくない。

「唯と愛は何がいい?」

「唯はね、チョコの!」

「愛もチョコ!」

啓太さんの問いかけに、待ってましたというが如く、勢いよく答えた。

「ははは、チョコだね。わかったよ。じゃあ、大人はゼリーで二人はチョコレートケーキにしよう」

啓太さんが宣言すると、二人とも大喜びしていた。




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