副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
山岸さんの同行も終えて会社にもどると、篠原さんに声をかけられた。

「美鈴ちゃん、プラスoneだけど、今日の内容は俺の方でまとめておいたから」

「すみません。篠原さんにやらせてしまって」

「いや、いいよ。手もあいてたし。あの後、ランチで話したことも付け加えたかったから。気の合う人で、盛り上がっちゃったよ。
それよりさあ、美鈴ちゃんって、もしかして東山さんと知り合いだった?」

「知り合いではないですけど……東山さんが何か言ってたんですか?」

「なんか、昔何回か見かけた人に似ているし、名前も同じだって言ってたから。どんな関係?」

「どんなも何もないですよ。昔、ピアノを習ってたんですけど、東山さんと同姓同名の子が同じ先生に習っていて、年に一回ある発表会で、一緒になってたんです。あの頃、男の子が出てることが珍しかったので、名前を覚えてました。同名なので、もしかしてとは思ってたんです」

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