副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「まあ、それはいいとして。それで、なんて呼んでくれるの?」

「敬意を込めて、啓太さんと呼びます」

「うん。ありがとう」

自然な優しい微笑みを向けられて、気恥ずかしくなってしまう。

「それじゃあ、もう少し話を詰めようか。できるだけ、本当のことをそのまま使った方が、ボロが出にくいだろうから。
そうだなあ……仕事を通して知り合って、実は昔、同じピアノの発表会に出ていたことがわかり、話しているうち意気投合して、付き合うようになったことにしよう。これならほぼ事実だ」

「そうですね」

「僕達は、まだ付き合い始めたばかりだな。ドレスを選んだ際に、ぼくから告白して、美鈴にOKがもらえた。ということは、今日は付き合い始めた記念日だな」

啓太さんは、おどけたように言った。
なんだか本当に気を許して、素の啓太さんを見せられたようでドキッとする。

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