副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「そ、そんなの、今と大して変わりません。面白みのない女だと思いますよ」

「そんなことはない。仕事中の美鈴は、とにかく優秀だ。だけど、こうして一度仕事を離れると、すごくかわいらしい女性だ」

「か、かわいらしい!?」

「ああ。美鈴はかわいらしいよ。まあ、みいちゃんって呼ばれていた頃を見てるからかな」

「も、もう。からかわないでください」

「うん。その調子。さっきより、僕に慣れてきたでしょ?」

「啓太さんは、砕けたっていうより……いたずらっ子のようですね」

「そんな悪ガキみたいなら、美鈴との年齢差も一気に縮まるみたいでいいね。あっ、でもそれは、精神年齢の方か」

思わず二人で声を上げて笑ってしまった。

「うん、いいね。大人になった美鈴の、本当の笑顔を初めて見られたよ」

「私こそ、啓太さんの作り物じゃない、心からの笑顔を初めて見ましたよ」

そう返すと、啓太さんは驚いた顔をした。

「美鈴……この契約の相手に、美鈴を選んだことは間違いじゃなかった。これから、よろしく」

差し出された大きな手に、自分の手をそっと添えた。
その優しい温かさに、ドキドキすると同時に、安心感を覚えていた。

「役不足かもしれませんが、よろしくお願いします」


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