副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
『おはようございます。こちらこそ、昨夜はありがとうございました。これからよろしくお願いします』

そう返すと、すぐさま啓太さんから電話がかかってきた。

「も、もしもし」

「今、大丈夫だった?」

「はい。何かありましたか?」

「いや。なんとなく、美鈴の声を聞きたくてさ」

「えっ?」

なんだか、本当の恋人同士のような甘い言葉に、電話越しとはいえ赤面してしまう。

「今日は、何をしてすごすの?」

「えっと、溜まった家事を片付けて、午後からは図書館に行くつもりです」

「へえ。どうして図書館に?」

「スキルアップのための勉強をしに」

「すごい向上心だね。美鈴ぐらいの歳の子で、そんな子なかなかいないんじゃないか」

「そんなことないですよ。私の場合は、趣味みたいになってしまってて……」

「ははは。それでもすごいことだよ。休日は、いつもそんな感じですごすの?」

「はい。あとは、数ヶ月毎に実家に顔を出しに行ってます」

なんだか、ますます自分という人間のつまらなさを露呈するようで、恥ずかしくなる。

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