三月はいなくなる子が多いから
「ガラッ!」

扉を閉める音。

「えっ、せ、先生…!」

椅子から飛び上がろうとする私。

の肩を先生はポンッと押さえて、
言葉も動きも制されてしまった。

さっきからの穏やかな微笑みを浮かべたまま、
「大丈夫だから…」

すると新緑の風を吹かせていた窓も閉めてた。

驚くくらい、それだけで、
二人きりの部屋は静寂で包まれた。

「ん、これでいいな…」

そう言って、ようやく先生は席に着いた。
私の正面に。

机を挟んで、
私と先生は向き合っている。
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