三月はいなくなる子が多いから
先生が、私に謝っている…!

一瞬だけ伏し目になったその表情は、
私をさらに戸惑わせた。
なんて言えばいいのかわからない……
初めての感情が沸いたから。

「…いえ、怒ってません……」

これが私が言葉にできる精一杯だった。

「そうか、ありがとな」

安堵した様子で、先生は微笑んだ。

頭の中、身体の中ぜんぶがふわふわした。
夢の中というよりは、
変にリアルな夢を、現実だったみたいに覚えている
ぼんやりとした朝。

それに少し似ていた。
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