白い便箋を太陽に翳してみれば・・
花恵は、こんな俺じゃなくてもっといい男と幸せになってほしい。

そして、カズキ・・。

この件だけは、カズキに相談したくはなかった。
カズキには散々世話になったから、もう頼ることはしたくなかったんだ・・。

地元に帰ってきた俺は、すぐにいくつかの掛け持ちのバイトを始めた。
母さんが借金をしていた金を返すために。

花恵と会うのもだんだん少なってなって、電話に出ない・・というか、出ないようにしていた。
しばらくは、花恵のことを考えないように俺は、バイトに専念した。

それと同時に、少しずつ引っ越しの準備も始めていた。
ここに居て花恵と会って余計にアイツを苦しませてしまうのなら、いっそのこと俺から離れれば、花恵もいつか俺のことを忘れてくれるかもしれない・・そう思った。

ぶっちゃけバイトとかも精神的にきつくて、気が狂いそうにもなった。
度々花恵から送られてくるメールに、俺は悔しさで何度も自分の壁を殴って泣いた。

「花恵、ごめん・・」ただ何度もそう呟きながら・・。
花恵に会わない時間がしばらく続いた後、俺はようやく花恵に一本の電話を入れた。

この時の俺は、すでに引っ越しの準備も終わっていた。
< 296 / 350 >

この作品をシェア

pagetop