白い便箋を太陽に翳してみれば・・
「うっせ・・。こっち見んな・・」

泣き顔を花恵に見られたくなくて、俺はさらに抱きしめている腕を強めた。
俺ってだせぇーな・・。

そして俺は、花恵にキスをした。
花恵との最後のキスは、世界で一番切ない味がした。

だけど俺・・一生忘れねぇーから。

それから俺達は、電車に乗って花恵を家まで送った。
幸せな時間は、本当にあっという間で一気に現実の世界へと引き戻されていく。

「また海行こーね!」

花恵のそんな言葉に、俺はただ笑顔を向けてやることしか出来なかった。
そんな姿に、俺は胸が苦しくなった。

そして、曲がり角を曲がって花恵の姿が見えなくなった時、一気に俺の中で今まで溜まっていた想いが、涙となって溢れ出してくる。

「くそっ・・」

払っても払っても、涙は止まることを知らずに零れ落ちていく。
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