永遠の愛を君に…
 俺は出発までの十日間、必死に桃香を探した。
ファミレスの店長によると、先週、退職したとのこと。
実家の連絡先は、何度聞いても教えてもらえなかった。
一日も早く見つけたくて、興信所にも依頼した。
しかし、手がかりがなく、見つけることはできなかった。

 俺は、偶然を信じて、桃香の実家があるという県にも出向いてみた。
だけど、最寄駅すら分からない状態で、闇雲に探しても見つかるわけがない。


 そうこうしているうちに、四月になり、俺は日本を立たなくてはいけなくなった。
諦めきれない思いを抱えながらも俺は飛行機に搭乗する。



桃香……
何があった?
俺たち、けんかもしたことなかったよな?
付き合い始めてちょうど一年。
卒業式の前日には、一緒に記念日のお祝いをした。
安物だけど、親のカードじゃなくて、俺の二年間のバイト代で買った指輪を贈ったら、涙をこぼすほど喜んでくれてたじゃん。

「帰ってきたら、ちゃんとプロポーズする
から、それまでこれして待ってて 」

って言ったら、驚いた顔してた。
俺が左手の薬指に指輪をはめたら、

「ありがとう 」

って泣いてたよな?

嬉し涙だと思ってた俺が間違ってたのか?

桃香…
今、どこにいる?
会いたいよ。
遠距離がダメだったのか?
俺が留学なんてしなきゃ、桃香は消えなかった?
今も俺の隣にいてくれた?

俺…
社長の息子なんかに生まれなきゃ良かった。
< 7 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop